温泉の事務室への階段を上がり終えたとき、給湯配管の下の床に黒い靴下のようなものが落ちているのに目が留まりました。
じっと目を凝らすと、何か生き物のような気がしたんです。
ねずみ?
いやだなぁ。
死骸なら、番台さんに片づけときなさいなんて言えないし・・・・。
黒アゲハチョウ?・・・・・・鳥?
つばめ!
2~3日前から、ツバメのつがいが巣作り場所を探して、温泉のシャッターを出入りしてとても気になっていて・・・
Tさんに、“倉庫のシャッター大きく開けとかないでね、つばめが巣作りはじめたらシャッター閉められなくなるよ。”
指示したばっかり。
多分閉じ込められたつばめが暗い1階から2階へと階段伝いに抜け出そうとしたんだと思います。
Tさんの不注意と言ってるわけではありません。
わたしがシャッター開けた時にも“つがい”で出入りし、出てくまで待っていたのに、出てった形跡がないことに気づいていたから・・・・。
“彼女(瞬間的にそう感じました)”は、多分息絶えたばっかりだったとおもいます。
そっと手のひらに包むと、羽毛の暖かさが私に伝わって来るような気がしました。
息吹き返すかな?
・・・・・・だめ!。
手のひらの中の“彼女”からは、死を迎え入れたものが発する“もの”になったあの無生物感が伝わってきたからです。
そのときなにか、とても心が痛んだんです。
ふと思いました。
わたしの心は、何が痛いと思ったのだろう?
遠く南の国から旅した果ての死に対する憐憫(れんびん)?
そうかもしれないけれど、少し違うと思いました。
絶望のなかで、出口の見えないあがきの末に逝かなければならなかった“彼女”の魂を考えると・・・・こころが裂かれるように痛くなったのだと感じました。
“こころ“なんてどの本にもここにあるなんて聞いたことないんですけれど・・・
しかし生き物は“それのこころ”が抜け出したときに、“もの”になると感じています。
わたしが言う“こころ”とは“たましい”と云われるものかもしれません。
“もの”になった彼女を、土に返さなければと思いました。
温泉のしだれ紅葉の根元をを無に還っていく褥(しとね)に選びました。
じつは、ツバメという生き物には最近格別の想いがあります。
ツバメの童話を邦訳して、自分の言葉で孫たちに残せるならばと昨年3カ月かけて英文訳して孫たちに手渡したのです。
掲載した絵は、私がそのとき、色鉛筆で描いた手作り童話の挿絵原画の一部です。
お絵かきは中学の時の美術の時間で終わりそれ以降、美術教育受けていませんから稚拙なデッサンであること認めます。
そして、訳した童話の名はThumbelina、邦訳名は「おやゆびひめ」です。
これもプロの邦訳には遠く及ばないでしょう。
だけど、英文訳したらThumbelinaという単語は、文中1回だけしか出てこないし文中で頻繁に使われたtiny(ちっぽけと訳しました。)を、南の国の同族の王子様のもとへ運んだツバメが、実は“ちっぽけ”をとても愛していたにもかかわらず、彼女のしあわせの為に“愛の告白”せずに再びデンマークへと旅立ったことなんか多分書いてないし、“ちっぽけ”が初め世俗の習いのお金持ちと結婚という道を選びながらも、や~~めたとツバメの背に乗って恩を忘れ、すたこら逃げて行ったことなんて書いてあるはずもなく・・・・。
これらは、近代という個人主義の意識や自我が発達する黎明期の知識人共通の悩みであり、夏目漱石さんなぞの、“ぼっちゃん”や一連の作品は最たるものという評価もあるわけであながち、うがった見方ではないのかとおもうのですが・・・・。
ましてや、アンデルセンさん自身が、“バイ”で悩んでいてやはりその苦悩を登場人物のキャラに託しながら、当時の近世の常識の罠からぬけだそうともがいた作品なんて見方は、孫向けには跡形もだせなくて・・・・。
私自身、おくびにも出さない邦訳にしましたが、“わかるかな?わかんねぇ~~だろうな~”という謎かけした世界で3冊しかない本になってます。
しかし、美しい“骸(むくろ)だと思いました。
ツバメは、黒くありません!
一言で言うと瑠璃色?
石で言うと、ラピスラズリの深い藍色の中に白い斑点が星のようにちりばめられてる?
あぁ~、その石の名前が浮かんだので検索で、石言葉というものがあることを知りました。
古代から世界各地で聖なる石として崇められ、目に見えない尊い存在や人の尊厳といったものへの理解力が高まると云われているそうです。
逝った“彼女”に今日温泉に植えに来た“龍のひげ“と”ラピスラズリィ“という名前を手向けることにしました。
この記事は、今日の0時半ころに自分のfacebookに投稿するために、書き起こしたワードの文章のコピペです。
迷っていましたが、facebook続けることにしました。
こんご、ブログ記事投稿の間隔が間遠くなることを防ぐために、同一投稿を取り入れることにしました。
両方をご存知の方には。ごめんなさい。
これ以上自分に負担をかけることに、限界を感じています。