泥棒と言われて。
1個の小汚い籠が目の前にあります。
これは何かと尋ねたら?
昔農作業のとき、ごはんが蒸れないように風通しの良い籠に布巾で包み持って行ったものです。
こんなのが、以前古民具ブームの頃ずいぶん農家の物置から出てきました。
ほんと、そのままだと小汚くって。
しかし、ディテールに美を感じた。
ちゅうか、これいけるかも・・・。
樹液そのままの、生漆。
黒い生漆、大匙いっぱい。
末の根の油を精製した、テレピン油で撹拌、希釈。
丁寧に塗り込んでいく。
やがてこの籠は飴色の光沢を放ち、本物の高級な物入れとなる。
このクラスの蓋付き竹編み籠は、国産ならば1万円以上。
漆を塗ると、3万円以上出さないと買えない。
この小汚い籠、マーケットでは1000円行かない。
ただ?
漆塗って、1万円なら即売れ。
美味しいものは、一人で食え。
ずっと黙っていたが、あるとき雉はおしゃべりだから骨董屋に鳴いてしまった。
「お前、泥棒だな!」
骨董屋!お前にだけは言われたくないわい。
「おはようございますとこんにちわ」以外はすべて嘘やん。
「お前は、お口、おいらはお手手。」
ほどなくして、才能があったかお口のほうがお手手より巧みになった自分がいた。
気を付けてください。
骨董屋、伝染します。
誰にも言わないでください。
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