手折らじのサクラ。

yo1

2012年03月26日 20:55

それは、オカンのつぶやきから始まった。

オトンの腎臓透析の送りで、実家に寄った。

テーブルの上に、古い写真が何枚かあった。

中に弟の写真が、あった。

「どうするんこれ?」

「私ら死んだら誰も知らんものになるものは処分することにした。」

たしかにそうかもしれない。

親と兄弟はそれなりに違うと言えば違う。

「もらっていっていいか?」

「持ってくまっしね」

1枚の写真をバッグにしまいこんだ、

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お仕事最終章です。

おいらが恋した欅の輪っか。



位置決めを、朝のうちに済ませました。(両面テープで仮止め)

金箔がちらりと輝きを放つ足位置、木地の曲面のバランスなどここからが自分の感覚との勝負。



妥協点低いですね、簡単にOK!

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突然ですが、万葉集に「磯の上に生ふる馬酔木を手折らめど見すべき君がありと言はなくに」という大伯皇女という方の句があります。

意味は、(いわのそばに生える馬酔木を手に取ってみようと思うのだが、それを見せてやりたいあの弟がまだ生きていると、誰も言ってはくれないことだ。)

弟とは、天武の御世に草壁皇子と後継者争いの末に謀反の罪で処刑された大津皇子のことです。死を悼むこともはばかられもちろん「泣き男」も登場しません。

輪っかの仮止めしていて、店の大甕に活けられひっそりと満開を迎えようとしているサクラが目に留まりました。

手折らじの(折らない)枝から,ひと枝手折らせていただきました。





春来ぬと、え手向けらじ手折らじのひと枝。

春待つ心持てず、逝った弟に春は届くのだろうか?



兄と違い、ようモテモテの男で下半身は完全に別人格かと思っていた。

今日は、こんな供養をしてやった。

それは、おかんの何気ない呟きから始まった。

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さぁ、輪っかの初仕事終わり、イミテーションゴールドをまぶされ明日の出撃を待つ。





静かに・・・・・。












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