simile and metaphor

yo1

2012年10月07日 18:07

遊んでいるのだ。

ある方の作品を参考に、私が感じた世界を表現するという遊びです。

若いころ、授業がつまらないとき空想の世界に行くのです。

世界は遠くなり、ネバーランドがそこに広がり苦痛を伴わない時間が持てました。

そんな遊びの頃を思い出して・・・・。

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わたしは蝶。

私の名前?

simile。

優しい羊水が満たされた殻に守られ・抱かれてたある日、わたしは「わたし」に気付いたの。

その繭のベッドは、「わたし」が「私」という形になるにつれて窮屈になり「さぁ、時間だよ」という声が聴こえ、私はわたしの外へ厭々だったけど出てきたの。

これって、生まれるということなんだよね。

生まれるということは、生きていかなくちゃいけない。

生きていくということは、食べなくちゃいけない。

それはもう、一生懸命生まれたその場所の「葉っぱ」(それしかない)を兎に角食べて食べて進むの。

食べて、消化して、また食べて出すの。

それは、そのまま「私」が生きている足あとみたいなもの。

・・・・やがて、「私」の中で変化が起こる。

時が満ちてくるのね。

食べるだけ食べた私の体の中には、次の世界へワープするエネルギーが満ち溢れていたわ。

「私」はふたたび「わたし」にもどるの。

そして、ひたすらじっと待ったわ。

私の背に何物かが作られて行く予感。

こんどは、自分の意志で衣をまとうの。

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おいらの名前はmetaphor。

おいらは、おっかぁーの柔かな糸で覆われた居心地のいい部屋で生まれた。

おとんは、おいらたちが元気に生まれるためにおかんに食われた。

おいらたちは、生まれながらに「罪」を背負って生まれてきてるのだ。

空がはれて風の強いある日、おっかぁーはおいらの仲間たちに告げる。

「さぁ、おいき!ここにはおまえたちを養っていくには充分な食べ物なんか何もないんだよ」

おいらたちは、一陣の風が舞い起こるたび、尻から長い糸を吐きだし程よく風をはらませて飛びだっていく。

それはもう風まかせ。

木漏れ日の中を、天へ天へと風はおいらたちを掬い上げていく。

天高く、森も牧場も遙かの下。

天へ天へ。

やがて海が近づき、おいらはとある森の木陰に舞い降りた。

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私がまとった殻のことを「さなぎ」というらしい。

私の背には、折りたたまれて私の体の10倍以上にもなる大きな羽が育ってる。

まとった殻がもうどうしようもなく窮屈になり、緊張が途切れた1条の綻(ほころ)びから私は再び姿を現す。

羽化。

数時間のち、私は大空へ飛び立つ。

飛ぶという行為は、私よりも大きな羽と言う道具で風をコントロールしなくちゃいけないの。

つまり、飛ぶためには私は「おでぶさん」では飛べないということ。

だから、何も食べないで体の中を空にしてそのエネルギーを羽に向かわせたの。

私は、完全に生まれ変わるの。

変身が終わると、今まで食べていた葉っぱは、私の体を重くして飛べない。

だから、花の蜜を食べるの。

大空を舞うように、そして気ままに私たちは踊る。

あぁ、このために私は生きてきたんだ。

そんな風に思えることもある。

し・あ・わ・せ。

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ずっとずっと昔から、おいらたちは生きているものしか口にできない生活をしてきたわけさぁ。

なぜかって?

生きてるものを食らうということは、「いのち」そのものを味わえるってことなんだぜ。

糸に絡めて動けなくして、頑丈な顎でおさえつけ体の液という液を吸い尽くす。

体中にめぐっていた「いのち」が自分の中に移動してくるときの目もくらむような昂揚感。

びくびくと胎動しながら命が消えていく。

やがて、「いのち」はおいらの中で律動する。

暗い葉陰で、おいらはじっと待つ。

恋い焦がれる。

焼けつくような希求感。

おっ!ひらひらと獲物が!

「こい!、そうだ、張りめぐらされた罠の先には、太陽にキラキラ輝く1輪の花がある。」

「甘い、甘い濃厚な蜜の香りはもうおまえの触覚に届いているだろう。」

「こい!こい!」

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木が朽ちて倒れた後、森の中に陽が燦々と輝いているような空き地ができる。

遮るものがない日向には、次のなわばりをもつ木が育つまで草木が謳歌する。

何処からか、私の大好きな蜜の香りが漂ってくる。

あそこにちがいない!

私は、風に乗る。

辺りのすべての風は、その空地の上昇気流に乗るために森の木々の間を目に見えない道を造る。

私は、風が作る見えない道に身を任せ「ひらり、ひらり」と空き地に引き寄せられていった。

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・・・・・・!!!!!????????。

なにかが!

見えない何かが足に、羽に!

突然私の体は空中にストップし、見えない風だけが私の体から慣性のベクトルをひきはがしていく。

その場所で何度か、上下のジャンプを繰り返し終には回転を繰り返しとまった。

ねばねばした透明の糸だ!

もがけばもがくほど、体に巻きついてくる。

ひとしきり、この身を自由にしようともがいていたが疲れて重くなってきた。

私の動きが鈍くなってきたのがわかる。

「冷静に。」

初めて辺りを見回した。

世界は何も変わっていない。

そらも、かぜも、ミツバチ達の微かな羽音さえ聴こえる。

私の視界の隅、暗い葉陰から視線を感じた。

というより、もがいてまとわりついてくる糸は意志を持ち私の想いと反対に操るものがいる。

巧妙に、周到に糸はゆるめられ、たわみ絞められていく。

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「おやおや。全く計算通りだね。」

「おっとっと。糸の1本1本が私の8本の手に握られている手綱さ、簡単に外そうたってそうはいかない」

「ほ~れ、ほらほら」

「踊れ、踊れ、いのちをめぐらせろ」

「おいらは、「いのち」の狩人さ。」

「お前の「いのち」で灯をともす。」

「焔(ほむら)が、陽炎のようにもえたつのが見える。」

白昼夢のように糸の網目が、燃え立ち妖しく揺れる。

まるで、ランプの炎のように・・・・。























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