もう温泉の浴槽掃除に向かう時間ギリギリです。
最後のラストスパート。
・・・・・・・間に合いました。
自分の日本語訳が完成!
やったね。
やはり、物語全体としては「おやゆびひめ」と名付けられながら最後に付けられた名前は「MAIA」。
「姫」というのは、訳者のヒットなんでしょうね。
作者アンデルセンの「愛」とは(相手の幸せを想える)というヒューマニティなのかなと思いました。
MAIAの最後には自分の気持ちに素直になりたい想い、そのMAIAの幸せを考えると生きる世界が違う自分と愛してるという自分の想いに挟まったツバメの納得。
揺れる想いを、アンデルセンはおとぎ話と言う世界で表現したのでしょうか?
ともあれ、これで一つのヤマを越えたことに間違いありません。
挿絵の準備ができれば、印刷して1冊の読み物になります。
とりあえず、完成に近づきホッとしています。
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そのときでした、彼女の頭の上でこえがきこえるではありませんか!
「チチチ、チチチ」
見上げると、あのツバメがすぐちかくを飛んでいるではありませんか。
ツバメは(ちっぽけ)を見つけたとたん、とてもよろこびました。
(ちっぽけ)は、地面の下で死ぬまで太陽を見ないでモグラおじさんとくらすけっこんがどんなにいやだったか、それをのぞんでいなかったかを泣きながら話しました。
「さむい、さむい冬がもうすぐやってくるよ、私はもうすぐ暖かい国へ/たびだたなければいけない。」
「 いっしょにくるかい?」
「君の腰おびを私にくくりつけて、背中にすわるだけだよ」
そうしたらぼくたちは、モグラおじさんのじめじめした部屋から遠くはなれていくつかの山をこえ、ここよりもっと光がかがやく(とこなつ)の花が咲きみだれるとても美しいところへ飛び立てるんだよだよ。
「今すぐ、とびたとう!君は僕の命の恩人なのだから」
「ええ!、あなたといっしょに行く」
(ちっぽけ)はツバメの背にまたがり広げた羽に足をかけてこしベルトをツバメの一番強い羽にくくりつけました。
それで、ツバメは大空へまいあがり海や森をいくつもこえ、(まんねんゆき)におおわれた最高に高いやまなみを超えていきました。
山越えの冷たい空気に凍えそうなくらいです、その先に広がる美しい土地を夢見て(ちっぽけ)は、ツバメのあたたかい羽の中にに身を寄せ、むきだしになった顔や頭をかばっていました。
ようやくのことで、太陽がひかりかがやき空がとてもたかい南の国へとたどりつきました。
そこは、道端や生垣に紫や緑や白い色のぶどうの実が実り森の木々にはオレンジやレモンがぶらさがりあたりには、日日草やオレンジの香りが立ち込めかわいい子供たちが、大きくてみごとな蝶と遊びながら田舎道をはしりまわっていました。
ツバメは次々とすてきな場所があらわれていくのを、どんどん後にしてますます遠くへと飛んでいきます。
やがて2人は、深い緑の森にかこまれた青いみずうみのそばの、まばゆいばかりにかがやく白い大理石の柱が立つ、古代の遺跡におりたちました。つるがまきついた柱のてっぺんには、たくさんのツバメたちの巣があり、その1本が(ちっぽけ)を乗せてきてくれたツバメの家でした。
ここが、わたしの南の国の家だよ。
だけど、君にはこの場所は向いてないね。(羽がない≪ちっぽけ)は柱の上は住めないのです) このあたりに咲いている美しい花の1つを選んでごらん。」
「その花へそっとおろしてあげるから。そうしたら君がねがう幸せのありったけが手にはいるはずだよ。」
「なんとうつくしい所なんでしょう!よろこびのあまり(ちっぽけ)はその小さな手で思わず手拍子をうちました。
たおれて3つにおれた大きな柱がじめんによこたわっていました。
たおれた柱のあいだには、一番おおきくて美しい白い花が咲いていました。 ツバメはまいおり、その花の広い葉の1まいに(ちっぽけ)をそっとおろしました。
花の中をのぞきこんだ(ちっぽけ)は≪ビックリ≫してしまいました。
おどろいたことに、中にはガラスでつくられたような白くてとうめいな小さな男の人がいるではありませんか!
彼は、黄金のおうかんをかぶり、肩にはせんさいな羽がありました、そしてなにより(ちっぽけ)にくらべちっとも大きくなかったのです。
あたりに咲いている花にはそれぞれ花の精がすんでいました、彼はその花の精の王さまでした。
「なんと、すてきな方なんでしょう!」
(ちっぽけ)はツバメにささやきました。
小さな王子は、彼のような小さな生き物に比べると巨人のようなツバメにおびえていましたが、(ちっぽけ)を見たとたんとてもよろこびました。
なぜなら王子がいままで、であった中では一番すてきな乙女だったからです。
彼は、自分のおうかんをはずして彼女にかぶせました。そして彼女のなまえをたずねながら「私のおくさんになってすべての花の精の女王になっていただけませんか?」といいました。
このもうしでは、たしかに黒いビロードのけがわをまとったモグラおじさんやヒキガエルのむすこの奥さんになるのとはまったくちがうおはなしなので、(ちっぽけ)は「はい」とすてきな王子様にへんじをしました。
(ちっぽけ)が「はい」とこたえたとき、あたりのすべての花がいっせいに開き花の中からよろこびにあふれたようすで、小さな女のひとや男のひとが2人のもとへやってきました。
彼らは、(ちっぽけ)に皆が1こずつプレゼントをもってきました。
そのなかでも、もっともすてきなプレゼントは、大きなしろいちょうちょが持っていたうつくしいそろいの羽でした。
彼らは、それを彼女の肩にくくりつけました、それで、彼女は花から花へと飛んでいくことができるようになりました。
あたりは祝福のこえに満ちました。
小さなツバメはその様子をかれらの上の巣にすわってみていました。
そして、いっしょうけんめいこころをこめて、けっこんの祝福の歌をさえずりました。
だけど・・・・、ツバメは大好きだった(ちっぽけ)のことをおもうと切なくなるのです、そして、「あなたのことを、ずっとずっとみまもるよ」と心に誓ったのでした。
「あなたはもう(ちっぽけ)じゃない!」
「それは、ふさわしい名前じゃないし、あなたはとてもかわいいわ」
口々に花の精たちは、彼女に言いました。
「これからは、あなたのことを(舞空・マイア)とよぶわ。」
すべてをみとどけたツバメは、やがて「さようなら、さようなら」とさえずりながら、遠くデンマークへと南の国を旅立ちました。
かれの心には、重い心もありました。
(でも、(舞空)は幸せになったのだから、いいじゃないか)
ツバメがひと夏を過ごすデンマークで、彼はあるおとぎ話作家の家の窓の上に巣を作りました。
この物語は、そのひと夏のツバメのさえずりを静かに聞いていた作家が書きとめた物語なのです。・・・おしまい。
Maia.:輝く星という意味もありますし、ギリシァ神話のアトラスの娘でヘルメスの母の名前でもあります。ローマ神話ではMAY(5月)のもとになる名前でもあります。