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2013年01月30日

カムイたちの黄昏:プロローグ

静岡のホテルにいます。

メンテ終わったようですね?

メンテナンス中、書き始めた物語を、構成しなおしていました。

今度は腰折れしないようにがんばるぞ!

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プロローグpro-logue第1話。

ティダアマテラスは微睡(まどろ)んでいた。

“南の神世界”、ニライカナイには、永遠の時が揺蕩(たゆた)うように流れ、静寂の時が流れるはずだった。

そのときも・・・・・・・・。

西暦2011年3月11日午後2時46分。

はるか彼方の海の底が、延々と2つに裂けたのである。

裂けた片方が、口を開いた奈落へと引きずり込まれ、反動で海面は沈み、また盛り上がり、大波となって陸地へと押し寄せていった。

結界となっていた空間の綻(ほころび)は、遥か海底の地の底から龍神たちの悲鳴に近い叫び声と共にやってきた。

ニライカナイが存在する空間は、間尺(ましゃく)というものはない。

ニライカナイは、広大無辺であり、またミクロの点にも匹敵する微小なものでもあるのだ。

「なにか!」

琉の島の御嶽のイビに祀(まつ)られているアマミキョ(女神)とシネリキョ(男神)に問いかけた。

「ティダアマテラス様、遠く北の国越冠(コシカップ)とヤマトゥの境カジマ(神島)の海の底が次々と裂けて割れています。」

「あの地は北のエミシの国カムイ・ムシリのモシリコロフチ(国の女神)が、ヤマトゥの天照大神(アマテラスオオカミ)と社(やしろ)を分かつ境ではないか?」

「イザナミの黄泉・根の国への入り口の一つは、その海の底にあったはず・・・・・」

神としてのティダアマテラスは、実相を伴わない。

ティダアマテラスの実相とは、光に包まれたエネルギー体であり人間から見るとまばゆいばかりのオーラに満ちている“意識”そのものである。

ティダアマテラスは、「千里の目」を開いた。

ティダアマテラスの「千里の目」には、天に昇る前の龍の子たちが、黄泉から噴きあげる業火に炙(あぶ)られ、さらにのたうち逆巻くうねりとなって海面に大波を立てていく様が見えた。

大波は、幾重にも陸地に向かい人間たちが営々と築きあげてきた「儚(はかな)き物」を次々と吞みこんでいった。

異変が起きている地溝帯の中央部分陸地には、人が灯した「神の灯」が見えている。

やがて、「神の灯」が大波に吞まれたその時・・・「禍津日神(まがつひのかみ)」が“原子炉”と人が言う灯の中から不気味な姿を現したのであった。

万物を構成する元をたどって行けば、神の世界に行き着く。

原子とは、物を構成する電子・陽子と中性子の構成粒子である。

その先が素粒子(クォーク)、すなわち神の世界なのである。

「ひとがあつかえるものではない」ティダアマテラスは思っていた。

形あるものは、流転し変化しながら「無」へと向かい、やがて神が「有」を与える。

これが、神がつかさどるニライカナイの業(わざ)。

「すべてが無に帰すまで人は生きて居まいに・・・・。」

「神の時間は、悠久で人の時間はあまりにも短い」

灯の底が、暗く赤く閃光を発し溶解していく。

稲光が走る。

黄泉から還ったイザナギが穢(けが)れを落としたとき産まれた禍津日神、さらにイザナミのホーを焼き尽くして最後に生まれた火の神カグツチまでもが、蘇ってくるではないか!

神の技を、人は無意識の過ちの中からつくりだしてしまった・・・・。

やがて、きのこの様な大黒雲が湧きたち、穢(けが)れは放たれてしまった。



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