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2013年02月24日

カムイたちの黄昏、その8~9

なんか自分でも話の続きが判らなくなりつつあり・・・・。

8の書き出しを9と勘違いして、ダブル(重複投稿)に投稿。

ついでに、表現を少し変えたので見比べられても結構です。

腰痛で、今日は仕事セーブします。

このカテゴリーは、続き物語でしかももう少し続けないといけないかなおもいつつ、過去記事の挿入で、カバーしてましたが・・・。

うううううううっ、腰痛くて、座ってはいられない。

同じカテゴリー(カムイたちの黄昏)の記事という項目が記事の一番下にあります。

前のあらすじを確認するためには、ここをご利用ください。

わたしは、ワードで文章をうち、たまったら放出と言う段取りです。

少したまったから、今日放出します。(勘違いでした)

読み返すとこの9から、少し変化が出てきています。

今回は、カナシの心への感情移入。

試験しながら、手探りで物語とは何かという自分の学び。

結構楽しい作業かも。

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地中深く龍の胎内にて



“私たちの名前は、隕岩達磨(インガンダルマ)。“

“私たちは宙(そら)を彷徨う星の嘆き”

“私たちは星が終わるとき発せられたひかりのエネルギー。”

“私たちひとつひとつは、重さがない”

“重さはその星の最期とともに、置いてきました。。”

“そして重さなき私たちは、光の泡となって宙(そら)を彷徨い新しい星が出来る時の星の素になります。”

“だから、私たちはすでに重さのある世界に居てはいけない存在なのです。”

アカハチがシコメを地に縫い付けることが出来たのは、宇宙空間で集めた光の泡“星の素(もと)のエネルギー”を剣に集め剣の次元を変えたことにあった。

そのことにより、空間にパラドックス(矛盾)が起きた。

パラドックス(矛盾)とは剣が砕け散った時に、正と負が逆転し、何物も吸い込む“黒い穴”が出現したのだ。

“もの“が凝縮されると、”もの“の重さは限りなく重くなる。
やがて、重力に耐えかねて質も量も今ある空間から漏れだす。

今ある空間の綻(ほころ)びが、黒い穴の正体だ。

すべてを呑み込んでいく穴は時間さえ呑み込む。

黒い穴の周りには、時間がない。

というより、時間の歩みは遅くなる。

そして、時間は光の速度と重さに相対するものだ。

インガンダルマは光の精だ。

光は、時間に対して普遍なのだ。

相対するものは、惹(ひ)きあう。

黒い穴の周りでは、光の消滅が加速されていた。

黒い穴の周りの時間は、龍の胎内にあるインガンダルマを徐々にひき込み始めていた。

黒い穴の先には、空間や時空をねじまげて、どことも知れぬ時空へと運ぶチューブのような“虫の穴”という通路があらわれていた。

十束剣(とつかのつるぎ)の鞘も、一種の黒い穴なのである。

負のものに、負の産物が出来てしまったのだ。

“どうか、私たちをもとの宙(そら)へと還してください”

“そのためには、黒い穴を白い穴へと変える必要があるのです。”

“白い穴とは、黒い穴の出口なのです。”

“虫の穴を逆流させるということか!“タケルとカナシは理解した。

“この衣は、私たち”ひかり“が宙(そら)を飛ぶ以上の速さで織られたものです。”

“時間のない黒の穴の入口の世界では、ひかりの速さを超えなければその地点から脱けだすことはできないし、呪縛からも抜け出せないのです。”

“この衣を黒い穴の口に押し込んでください“

“あなたが持つ剣のエネルギーで一瞬でも黒い穴の口が満たされたら、吸い込まれる力が弱まります。その時にこの衣を口に押し込んでください”

“流れが止まる間に、エネルギーを集約して私たちは宙(そら)へ還ります。“

“あなたたちしかできません、ずっと待っていたのです。”

タケルは女神の姿をしたインガンダルマから衣を受け取った。

女神は、渡し終えると砂が崩れ去るように水の中に溶け込み、きらきらと輝く光の粒となった。

タケルとカナシは互いの眼を見つめあい、静かに湖面を漂う光の粒へと視線を移した。

タケルは、草薙の剣を抜き放った。

剣は、赤い光を帯びていた。

カナシが持っている勾玉が、抜き放った剣に感応して薄紅色に徐々に輝いていく。

カナシは、自分の勾玉をタケルの剣の柄(つか)にくくりつけた。

そうしなくてはいけないと感じたからだ。

タケルは剣に意識を集めた。

剣の先から炎のような赤い光線が走り、水面が切り分けられていく。

カナシは、勾玉に意識を集中する。

柄の勾玉は、極紅色へと変化していった。

タケルは衣をまとって剣を持ち湖に足を踏み入れた。

湖岸で、カナシは祈りの形をとった。

祈りの形とは、舞うことである。

舞うことにより、余計な雑念を消し去っていくのだ。

忘我の先に、陶酔がやってくる。

カナシが持っている“さだめ”の糸が過去生に生きてきた人たちとつながり始める。

カナシは過去生とつながることにより、つながれてきた“いのち”の環の一つとなっていく。

その“環“が見えない糸となってタケルの柄の勾玉へとつながる。

タケルは、カナシのすべてと剣によってつながったことを感じた。

タケルは、衣をまとった。

衣をまとったタケルの姿は消えた。

衣は、すべてのあるものに反発し光を通したのである。

見えなくなったタケルだが、剣の発する輝きが人型となり、湖水が左右に切り分けていくのが見えた。

カナシは目を閉じて、タケルの眼や意識と同化した。

湖底は、なだらかに傾斜し徐々に下っていく。

カナシの眼に,湖底を進みながらあたりの水や光を歪めている岩壁が目に入った。

まわりの水が、どんどん重くなっていくのをタケルを通してカナシは感じた。

岩壁の一角が、光の粒をゆっくりと吸収していた。

“鞘だ。”

鞘が岩に突き刺ささっていた。

十束剣の鞘口へと、光りの粒が誘い込まれるように消えていく。

“体が重い”とかんじた。

あるところまで来ると、身動きもままならない。

自分の意思から、剣も意識もバラバラになり離れていくのを感じた。

タケルの意識は、遠くへ、いや、鞘口へと体と分離されるように近づいていってるのだ。

すべてを呑み込んでいく“黒い穴”は形あるものは“意識”さへも分解していくようだ。

タケルの意識がとおざかっていく。

とぎれとぎれになっていく。

湖のほとりで感じていたカナシは狼狽した。

“どうしよう”

カナシがいくら勾玉へ意識を集中しようとも、底なし沼のようにずるずると引き込まれていく。

時間さえ、光りさえ戻ってこない闇の恐怖が二人を襲っていった。



すべてを呑み込んでいく“黒い穴”へ

カナシも、タケルの眼を通して水中の景色は奇妙に歪んでいくのがみえた、ゆっくりとではあるが確実にカナシの意識も引き寄せられていく。

“いやーーーーーー!”

カナシは心で叫んだ。

“おばぁさん、クスマヤーのおばぁさん、助けて、どうすればいいの?“

“カナシ、おまえのすべてをあの男に与えなさい。惜しみなく与えなさい。後を考えてはいけない。今だけを考えて。”

カナシは、クスマヤーのおばぁさんの言う意味を考えた。

(わたしは、せいいっぱいよ。これ以上何を与えるというの?)

その間も、タケルを通して見えてくる世界は奇怪にねじ曲げられた光景の世界へと変貌していく。

(・・・わたし?わたしを捨てろというのね?)

かって、アカハチが身を捨てて宙(そら)から光を集めてシコメに立ち向かったように、自らを捨て去るということは、その身をなくすことに他ならない。

カナシは、地底の湖の砂に身を横たえた。

カナシの肉体から、“魂(ちむ)”が空中へと静かに浮き上がった。

湖面に、光りがあつまってきた。

光はカナシの魂(ちむ)をやさしく包み始めた。

まるで、光がカナシの魂(ちむ)を“黒い穴”の引力から薄いバリアーで守っているように見えた。

光は、カナシの魂(ちむ)を包み込むように持ち上げ、湖底へと運んで行った。

タケルが身動きも出来ずいるところへと、光たちは自らも“黒い穴”に呑み込まれながらカナシの魂(ちむ)を運んできた。

タケルの剣の柄頭に取り付けられたカナシの勾玉の部分に来ると、カナシの魂(ちむ)はゆっくりと勾玉の中へと溶け込んでいった。

手にした剣から。暖かい何かが伝わってくる。

タケルの体の自由がわずかながら戻ってきた。

渾身の意識を込めて、草薙の剣の剣先から光線が発射された。

それは、まわりの時間に逆らうようなスピードで鞘口へと浴びせられる。

カナシの魂(ちむ)が、剣の先からほとばしっていく。

しかし放った光線は“黒い穴“に到達すると、輝くどころかろうそくの火が燃え尽きるようにゆっくりと細くなってふっと消えて吸い込まれて行った。

あたりの空間を、剣で払おうとするのだが動作はすべてスローモーションのように緩慢にしか動かなかった。

巨大な海綿が、柔らかく柔らかく水を含んでいくように、まわりの時間がが吸い込まれていく。

幾度も光線を放ち、払いもがいているうちに、鞘口がだんだん大きくなってタケルの身の丈ほどになっていく。

鞘口が大きくなったのではなく、大きなエネルギーがその口にかかったからだ。

タケルが分解・終息していく。

タケルの意識が、間延びしながら遠ざかっていく。


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