2013年02月02日
カムイたちの黄昏4
2013/01/30
2013/01/31
2013/02/01
日本国内の弥生時代の遺跡からは、沖縄などでしか採れないタカラガイやゴホウラ貝の装飾品が出土し、与勝半島勝連などでは、神女ノロが勾玉を佩(は)いて、世直しを誓うという神祭りがあるという。
太古から琉球と大和は海の道で確かに繋がっていたのである。
やがて、交流が途絶え大和はその風習を捨て青銅器文化へと進む。
外からの交流が大和ほど活発ではなかった琉球にはその記憶が、意味を捨て去ってまでも長い年月の末残った。
民俗学者 柳田国男の著書“海上の道”や“方言周圏論”はそのことを推論するには十分な集積の書であると思いました。
創世の書
タケルとカナシの物語
ー月ぬ浜にてー
望月(満月)は中空にかかり始めていた。
かがり火は天に届くかのように燃え盛り、四十万(しじま)の木々に巨人のような人影が踊る。
男たちは、歌を詠み、女たちが返歌する。
頃合いがとれた男女は、手に手を取り闇へと消えていく。
タケルを狙う女たちは多かった。
タケルへと次々に歌が寄せられる。
タケルの歌も見事で、女たちの返歌にタケルは首を振らない。
そうこうしているうちに、座は盛り上がり宴は酣(たけなわ)となっていった。
タケルが歌を詠み始めた。
「川の水はやがて海に注いでとどまる・・・・(そのようにやがて、)私の心は貴女の心に染まる。」
・・・・返せるものはいなかった。
一瞬の静寂のあとであった・・・・・。
アダンの木陰から沁みとおるような女の声が返歌を詠みはじめる。
「月と太陽はいつも仲良く同じ道を通る。貴方の心も(そのように)いつも私一筋であってほしい」
座にどよめきが走った。
カナシである。
カナシの胸元が、木々の葉陰の闇の中で光っている。
クスマヤーおばぁさんに託されたタカラガイの首飾りが自ら輝き始めたのだ。
タケルが身に帯びていた剣(つるぎ)も鞘越しに光り始めてた。
にわかに風が舞いだした。
叢雲(むらくも)が、月を蔽っていく。
やがて光が中空を走り、海の上をくねくねと龍の神が雲のまにまを跳梁する様が看てとれた。
闇が影のように反映される。
空が異様な気配に満ち速足の雲が渦巻く。
大粒の雨が天から落ちてきた。
やがて帳(とばり)が下りたように雨足は激しく、砂浜をたたき始めた。
人々は、嵐からの宿り木をさがし、先を争って逃げ出し始めた。
その中を、ほの青い光に包まれた男女が歩み寄っていく。
二人は、互いに近づきすっかり消えかけたかがり火の前で、1つに重なり合った。
どちらともなく、互いはもとめ合い唇を合わせ、心と心は宿命(さだめ)を確かめ合った。
天を切り裂き、光と炎に包まれた雷(いかずち)が重なり合った二人めがけて落ちていった。
二つの光はさらに輝く一つの光の柱になった。
七色のスペクトル(7色の光の帯)が珠になって散って行った。
風が啼き、雷(いかずち)が闇を切り裂き、雨が垣根を幾重にもめぐらし視界を遮(さえぎ)っていった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ティダアマテラスは、天照大神へと想念を送った。
「天照大神、これで良いのかえ?」
「ティダアマテラス、恩に着る。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Posted by yo1 at 12:26│Comments(0)
│カムイたちの黄昏